広告やコンテンツ制作の現場で、「なんとなく良さそう」「雰囲気で伝えたい」といった感覚的な指示が飛び交うことは少なくありません。
しかし、成果を出すマーケティングにおいて、クリエイティブは“戦略”に基づいて設計されるべきです。
その設計図となるのが「クリエイティブブリーフ」。
これは、広告制作やキャンペーン設計において、目的・ターゲット・メッセージ・トーンなどを明確に定義するためのドキュメントです。
この記事では、クリエイティブブリーフの基本構造から具体例、マーケティングへの活かし方までを網羅的に解説します。
クリエイティブブリーフとは?定義と役割
クリエイティブブリーフ(Creative Brief)とは、広告やプロモーション施策を制作する際に、関係者間で共有する“戦略的な指示書”です。主に以下の目的で活用されます。
- 制作物の方向性を明確にする
- チーム間の認識を統一する
- クリエイティブの評価軸を定める
- 無駄な修正や手戻りを防ぐ
広告代理店や制作会社、社内マーケティングチームなど、複数のステークホルダーが関わるプロジェクトでは、ブリーフの有無が成果に直結します。
クリエイティブブリーフの基本構成
以下は、一般的なクリエイティブブリーフの構成要素です。
プロジェクトの規模や目的に応じてカスタマイズされます。
① プロジェクト概要
- 施策名
- 実施期間
- 担当者/関係者
② 背景と目的
- なぜこの施策を行うのか
- 何を達成したいのか(KPI)
③ ターゲット
- 性別・年齢・職業・ライフスタイル
- インサイト(悩み・欲求・価値観)
④ メッセージ
- 伝えたいことの核(USP/ベネフィット)
- 競合との差別化ポイント
⑤ トーン&スタイル
- 言葉遣い(カジュアル/フォーマル)
- ビジュアルの方向性(明るい/シック)
⑥ メディアとフォーマット
- 使用媒体(Web/SNS/動画/紙)
- サイズ・尺・フォーマット指定
⑦ 必須要素・NG事項
- ロゴ・ブランドカラー・法的表記
- 使用禁止ワード・避けたい表現
具体例:化粧品ブランドのLP制作ブリーフ
以下は、D2C化粧品ブランドが新商品のLPを制作する際のクリエイティブブリーフの一例です。
プロジェクト名:新商品「Glow Serum」LP制作
目的:CV率5%以上のLPを制作し、初回購入を促進
ターゲット:30代女性/美容感度が高く、SNSで情報収集
インサイト:「高い化粧品は効果があるけど、続けられない」
メッセージ:「高機能なのに、続けやすい価格。肌が輝く習慣を。」
トーン&スタイル:やさしく、信頼感のある語り口。白×ゴールド基調の上品なデザイン
メディア:Web(スマホファースト)
必須要素:初回限定価格/定期購入のメリット/全成分表示
NG事項:「絶対に効く」「奇跡」など誇大表現
このように、クリエイティブブリーフがあることで、ライター・デザイナー・マーケターが同じ方向を向いて制作に取り組めます。
マーケティングにおける活かし方
クリエイティブブリーフは、単なる制作指示書ではありません。
マーケティング戦略全体において、以下のような活用が可能です。
① コンテンツマーケティングの設計図として
SEO記事やSNS投稿、動画コンテンツなど、あらゆるコンテンツ制作において、ブリーフを活用することで「誰に、何を、どう伝えるか」が明確になります。
② 広告運用のPDCAサイクルに組み込む
広告の成果を分析する際、ブリーフに記載された「目的」「ターゲット」「メッセージ」が評価軸になります。
これにより、改善点が明確になり、次回施策に活かせます。
③ ブランドトーンの一貫性を保つ
複数の制作物が同時進行する場合でも、ブリーフを共有することで、ブランドの世界観や言葉遣いが統一され、ユーザー体験がブレません。
よくある失敗と改善ポイント
失敗①:ターゲットが曖昧
→「20〜40代女性」では広すぎる。ペルソナを具体化し、インサイトを掘り下げる。
失敗②:メッセージが複数ある
→「安い」「高品質」「おしゃれ」など、伝えたいことが多すぎると、ユーザーに届かない。1つに絞る勇気が必要。
失敗③:トーンが定まっていない
→「カジュアルだけど信頼感も欲しい」など曖昧な指示は、制作側を迷わせる。参考事例やNG表現を明示することで精度が上がる。
まとめ:クリエイティブブリーフは“成果を生む言語化ツール”
- クリエイティブブリーフは、広告制作の“設計図”であり、戦略と表現をつなぐ架け橋
- 明確な目的・ターゲット・メッセージが、成果につながるクリエイティブを生む
- コンテンツ制作・広告運用・ブランド構築など、あらゆるマーケティング施策に活用可能
感覚ではなく、言語化された戦略があるからこそ、クリエイティブは“売れる表現”になる。
SEOやCVを重視するマーケターにとって、クリエイティブブリーフは欠かせない武器です。


