マーケティングにおいて、どのような人を相手に商品を売り込むのかという、いわゆるターゲティングをすることは重要です。
「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」で万人受けを狙うのは効率が悪いです。
しかし「どのような人」を相手に「どのように」商品を売り込めばよいかというのは、また難しいところです。
今回はターゲティングをするにあたって使えそうな法則、「OATHの法則」について見ていきましょう。
OATHの法則とは何か
OATHの法則とは、顧客が抱える問題意識を4つのレベルに分類したもので、下記のようにそれぞれのレベルの頭文字を取ったものです。
- 無関心(Oblivious):自分が抱える問題について、意識していない状態
- 無感動(Apathetic):問題に気が付いてはいるが、解決する気がない状態
- 考慮(Thinking):問題について認識していて、解決策を考えている状態
- 切迫(Hurting):今すぐにでも問題を解決したいと思っている状態
ご覧の通り、下に行くほど問題意識が高くなっていきます。
OATHの法則はマーケティングにおける消費者の関心度や購買意欲を分類するフレームワークです。
この法則を活用することで、ターゲットに適したマーケティング戦略を立てやすくなります。
例えば、無関心な層には認知拡大のための広告が有効ですが、切迫している層には具体的な購入インセンティブが必要になります。
なぜOATHの法則が重要なのか
OATHの法則が重要な理由は、消費者の心理や購買行動を理解し、適切なマーケティング施策を行うための指針になるからです。
具体的には、以下のようなメリットがあります。
- ターゲット層の明確化 消費者がどの段階にいるのかを把握することで、最適なアプローチを選択できます。例えば、「無関心(Oblivious)」な層に対しては、ブランド認知を高めるための広告やSNS施策が有効です。
- 効果的なメッセージ設計 各段階ごとに異なるマーケティングメッセージを作ることで、消費者の関心を引きやすくなります。「考慮(Thinking)」の段階にいる消費者には、商品の利点や比較情報を提供するのが効果的です。
- 適切なタイミングでアプローチ 「切迫(Hurting)」している消費者には、期間限定のキャンペーンやクーポンを提示することで、購買を促すことができます。逆に、興味の薄い層には長期的なブランド育成の戦略が求められます。
- マーケティング資源の最適化 適切なターゲットと戦略を決めることで、広告費やマーケティング予算を無駄なく使うことができます。関心のない層に高額な広告を打つよりも、購買意欲の高い層に効果的な施策を集中させる方が投資効率が向上します。
このように、OATHの法則を活用することで、消費者の意識レベルに応じたマーケティングを展開できるため、ブランドの成長に貢献するのです。
OATHの法則はどのように使えるのか
OATHの法則をマーケティングに活用するには、ターゲットの関心レベルに応じた戦略を設計することが重要です。具体的な使い方の例はこんな感じです。
1. 広告戦略の最適化
消費者が「無関心(Oblivious)」の段階では、ブランドの認知度を高めることが最優先になります。そのため、以下の施策が効果的です:
- SNS広告やインフルエンサーによる認知拡大
- キャッチーなコンテンツやバイラルマーケティング
- 体験型イベントや試供品の提供
一方、「考慮(Thinking)」の段階にいるユーザーには、比較情報や製品の魅力を強調する広告が有効です:
- 商品のレビューやケーススタディの提供
- 動画コンテンツで特徴を紹介
- 競合製品との比較広告
2. コンテンツマーケティング
コンテンツの種類を、消費者の関心度に合わせて変えることで、購買意欲を高めることができます。
- 「無関心(Oblivious)」層: エンタメ要素のあるコンテンツで、まず興味を引く(例:面白い動画やクイズ)
- 「無感動(Apathetic)」層: 業界のトレンドや課題を解決する情報を提供(例:ブログ記事、ホワイトペーパー)
- 「考慮(Thinking)」層: 実際のユーザーの成功事例や導入事例を紹介(例:インタビュー記事、比較表)
- 「切迫(Hurried)」層: 期間限定のキャンペーンやクーポンを提供し、即決を促す(例:緊急セール情報)
3. メールマーケティング
OATHの各ステージに応じたメールの内容を変えることで、より効果的なアプローチが可能になります。
- 「無関心」層には、ブランド紹介やお役立ち情報を提供
- 「無感動」層には、製品のメリットや違いを解説
- 「考慮」層には、購入を後押しするレビューや割引情報を送る
- 「切迫」層には、緊急セールや特典付きのオファーを送信
4. セールスアプローチ
営業活動でもOATHの法則を活用できます。例えば:
- 「無関心」層: 知名度のあるブランドとコラボしたキャンペーンを実施し、関心を持たせる
- 「無感動」層: 無料トライアルや限定オファーで実際の価値を体験してもらう
- 「考慮」層: 他社との違いや導入メリットを明確に伝え、競合との差別化を図る
- 「切迫」層: 即決を促すインセンティブ(数量限定、特別価格)を提供
こうした方法で、消費者の心理状態に合わせたマーケティングを展開することで、より高い成果を得ることができます
まとめ
OATHの法則は、消費者の問題意識に対する関心の度合いを示す方法でした。
マーケティングではそれを生かして、それぞれの段階の消費者に適切な広告などを打つことが、成果を上げるために有効になります。
これはランディングページの制作にフォーカスした場合にも使える法則となります。
例えば「無関心(Oblivious)層」に対しては、AIDMAの法則やAISASの法則を用いて、まずは商品に対して消費者の注意(Attention)を引き、興味(Interest)を持ってもらうことが重要になってきます。
一方「切迫(Hurting)層」にはいきなり商品の本題に入った方が効果的でしょう。
水道管が破裂して今まさに困っている人に、長ったらしく「実はあなたの深層心理ではクラシアンを求めているはずなんですよ。理由は~」なんて書いた日には「殴ったろか!?」と言われるのがオチです。
TPOではありませんが、マーケティングも適切な人に適切なものをぶつけることを意識すると、成約につながるかもしれません。